医療も「市場原理」の視点から見ると“それに飲み込まれている現実”があります。医療機関同士の競い合いがあり、ひいては、医療者側による受診者に対する優越性・劣勢がまかり通っているように感じることが多く見受けられます。
のっけから難しい話になりました。“医者がどれくらい賢いか”なんてどうだっていいことで、その知識と経験を“供託”すること。それこそ知的に豊かで健全な社会だと思います。
紀元前5世紀、われわれ医療者の父祖「ヒポクラテス」は“病というものは環境、水や食事、生活習慣によるもので、医療の原則は本来人間に備わっている自然力を助けることである”と論じています。そこで「レジリエンス」という言葉を考えてみます。物理学で言う「バネ」を起源とする言葉で、医療においては受診者の“レジリエンスを引き出す”ことを目的とし、錆びついて動きが悪くなったバネを生き返らせるという考えが主体であるべきで、医療の知識・経験を礎に患者と互いに供託し“腑に落ちる”ことがとても重要であると思っています。と同時に“患者力を身につけてもらうこと”。日常、親は子供に試験の点数を上げることだけに執着しがちです。そもそも教育とは加点が目的ではなく「学ぶ力を養い」「生きる力」を教え導くことにあるはずです。診療において教育者となりうる医師の役割は『生きる力、患者力』を養う道標になることと常日頃考えています。 人の心は複雑で何が真理かなんて見当がつきません。しかし一つだけ明らかな揺るぎない真理があります。人間以外の動物は「いつか自分が死ぬ」ということを知りません。人間はいつか死ぬのだということを勘定にいれて生きなければなりません。「自分はいつか死ぬ」ことの耐え難さを緩和するために物語を紡いでいくわけです。医療従事者は「自分はいつか死ぬ」狭間にある患者に関わらなければならない。自身の死を勘定にいれず、その人の物語の手助けをしなくてはならない。その耐え難さに覚悟を持って臨まなければなりません。 思想家内田樹の仏哲学者レヴィナスからの引用に“人間がなすべきことは「飢えた人に食事を与え、渇いた人に水を与え、宿のない人に一夜の宿を与え、裸の人に服を着せること」「他人に優しくしましょう」”という文書に心打たれます。 レジリエンス発動により回復を促すものとして「薬物・精神療法・リハビリを主とした医療」、自らの「ARTISTとしてのわずかな力量」、そして「スポーツ指導者としての経験」に基づき現代社会に貢献できれば、との思いでホームページを立ち上げました。 写真:スキー指導の恩師山口肇氏(右)とリハビリをかねてハイキング
Izumi Inaba
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稲葉泉
日本脳神経外科専門医・評議員
日本脳神経外科認知症学会認定医
世界脳神経外科連盟(WFNS)脳血管障害部門役員
日本老年精神医学会会員
日本医師会認定産業医、生涯健康学習研究会理事
2010 第8回アジア脳神経外科学会最優秀賞
2012 第28回 白馬脳神経外科セミナー会長
2009~2013 くも膜下出血 WFNS grading改定委員会委員
日本職業スキー教師協会(SIA)教師(元)
Gino医療コンサルティング
講演/学会活動
2019
2019.9.8
第3回日本脳神経外科認知症学会学術総会
「本邦の認知症医療の課題」
2023
2023.12.10 「物忘れ/認知症とは」 『北海道新聞社主催 道新終活応援フェア2023inオホーツク』
2024
2024.2.22 「物忘れ外来における漢方医学と西洋医学の融合」 『KB2スティックFestival in北海道』 2024.9.15 「認知症についてみんなで学ぼう」 『世界アルツハイマーデイ2024 in KITAMI』 2024.12.14 「認知症・物忘れ外来」 〜その実情を知り考えてみましょう〜 『東京都文京区 第32回慈愛会健康講座』 2024.6.29 第8回日本脳神経外科認知症学会学術総会シンポジウム シンポジウム1「物忘れ外来における漢方医学と西洋医学の融合」
2025
2025.4.18 『体調と認知症』 睡眠・腸活、そして免疫力。
2026
2月26日
神奈川県弁護士会 講演 認知症医療をめぐる講演へ参加。Roberto Mezzina氏との交流、イタリア研修へつながる契機
5月15日
新城テラスクリニック 講演 「もの忘れ外来のリアル ―アジテーションへの介入―」
6月22日
北見市 市民向け講演 認知症・高齢者医療に関する市民講演
7月18日
SHANRI Life Coffee Vol.1/SCC千駄ヶ谷コミュニティセンター 「脳がよろこぶ生き方」。もの忘れ、睡眠、ストレス、AIとの付き合い方などの講座実施
7月22日
「三人の専門医が語るこれからの医療」 「年を重ねること 認知症とともに生きること」講演実施
10月17日
野沢温泉村 村制施行70周年記念 健康講演会
「年を重ねること 認知症とともに生きること ~認知症を正しく知り、自分らしく生きるために~」
10月31日
第34回脳神経漢方医学会 「高齢者のポリファーマシーと東西医学の融合 ―患者力を高める認知症・フレイル診療―」
その他、東京都、北海道にて地域包括支援センター・医療機関主催講演会・講話など多数
この度、精神保健および地域精神医学の先進地であるイタリア・トリエステを訪問し、現地の視察を行いました。 滞在中は、地域精神医療を牽引してきたロバート・メッティーナ教授との対談をはじめ、世界保健機関(WHO)コラボレーティング・センター、社会的協同組合「ラ・コッリーナ」、および生活圏域の互助組織「ミクロエリア」の活動現場を訪問しました。現地の精神医療専門家、コーディネーター、福祉・社会活動の従事者、そして地域住民の皆様との対話を通じ、実際の医療機関や市民に開放されたコミュニティスペース、地域のネットワークがどのように機能しているか、その具体的な運用の実態を総合的に視察いたしました。 その後、Prof. Wilma、およびインスブリア大学内科学准教授でASSTラリアーナの医療部門長を務めるProf. Marescaと対談いたしました。そこでは、コモにおける地域医療の仕組みや、イタリアにおける老年医療のシステムとその役割について深く学びました。あわせて、障害者の自立と地域生活を支援する「il paese」および「ウロボロス」の視察も行い、多角的な知見を得る貴重な機会となりました。 ※ロベルト・メッツィーナ氏との対談(カフェ・サンマルコにて)